• STORY

    父親の火葬の日、アルバイトで着ぐるみの獦狚(カッタン)と文京区を周ることになった少女ミク。


    しかし実はカッタンの中に入っていたのは古代のムー大陸人だった。


    かつてムー一族を滅ぼした激獣タイフーが封印から目覚めそうな気配を感じた獦狚は、

    ミクにタイフーと戦う戦士ヴァリドマンとなる事を懇願する。


    獦狚の眷属妖怪と大学生活を送る中、敵にひとりまたひとりと眷属妖怪たちが倒されていく。


    阻止に立ち上がるふたり!迫る激獣復活!!

    妹の仇を討とうと獦狚は巨大化、激獣タイフーと大バトル!しかし巨大獦狚は力及ばずダウン。
    危機一髪の瞬間!――奇跡の力をもらい、ミクが大変身!

    巨大ヒーロー・ヴァリドマンとなって、さあ最終決戦だ!

  • INTRODUCTION

    当作は伝統的な“特撮”という領域に対して、学生の体力と現代の民製技術で、どこまで“プロっぽく迫れるか!?”にトライした意欲作だ。自主制作ながら数々の地域振興映画やプロモーション映像を撮ってきた、公野研究室が「どうしても特撮をやりたい!」「尊敬する円谷英二に捧げたい!」という学生スタッフの焦熱を束ね、今作だけはと依頼案件ではなく、自主的な制作体制を打ち出したものだ。もともと公野の出身が特撮企業であることに加え、スタッフの中ではここ数年間の撮影を取り仕切ってきた小林律貴(現在はプロダクション勤務)が大の特撮マニアであったことから、紆余曲折ありながらも大学機関の研究的支援を受けて軌道に乗せたものだ。ただし特撮には大変なコストがかかるのはファンの皆様も御存じだと思うが、現在、テレビで放映されていたり劇場公開されていたりするような大規模な撮影体制は研究室レベルではとても組むことができない。しかもスタッフのほとんどは大学の学生なのだからその技術・体力は推して知るべしである。そんな脆弱ともいえる体制の中、教授のネットワークと学生たちの熱意により、多くの協力者が現れることになった。まずは支援企業だが楽曲協力として第一興商、民製機の最大活用を評価してSONYが名乗りを上げたのだ! そして俳優陣であるが主演声優に杉田智和、そしてトメの特別出演に神代知衣と、なんと超級のレジェンドが登場! ED楽曲は飛ぶ鳥を落とす勢いのシンガーソングライター、ハナフサマユが提供を申し出た! そして肝心のメインキャラクターのイラストレーション化にはWebで話題の漫画を描く横山了一が参加! さらにメインアートワークにはあの『ゴジラ』やウルトラシリーズでもお馴染みの“邦画界の至宝”開田裕治が参戦を表明! しかも興行館はあの“インディーズの聖地”シネマロサである!――これはもはや自主制作の域を超え、保守本流作品へ戦いを挑む、若い力たちの映画のテロリズム、革命かクーデターのようである。

    とはいえきちんと映画の求心力も持たなければ、映画ファンには見向きもされない。研究室教授の公野は数々の商業映画でヒットを飛ばしたベテランのプロデューサーかつクリエイターでもあって、細緻な予算策定とロケーション撮影、特撮を熟知しており、“趣味にとどまらない”映画のドラマツルギーを追求する体制を構築した。特撮作品ということで子どもたちが映画館に観に来ることを見越して物語は難しくなく、アクションをふんだんに取り入れて正義感とユニークさにあふれ、俳優部は大人が観ても楽しめるようネクストトレンドとは思えない、熱のこもった記憶に残る演技を醸成、艶やかさと可愛らしさ、愛情と涙とペーソスをフィルムに定着させる。かつ、春休み公開ということでテーマを“家族”とし、ついにはファミリー・ピクチャーとしての体裁を整えたのだった。

    そして――“御当地”となる文京区民からの多大な支援、またクラウドファンディングによる世界中のファンたちの熱い声援に応え、教授の健康とこづかいとを引き換えにして、特撮大作『ヴァリドマン』はここに誕生した!